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| 食のトレンドを追う／2010年7月号 |
2023年11月18日から、発行から１年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。
| 大人も夢中。本格料理が楽しめる。おもちゃ、クッキング・トイ | ||||
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| パン作りの難しさをおもちゃで簡単に | |||||||||||||||||
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この２年ほど、頻繁にクッキング・トイを発売しているタカラトミー。おもちゃによって料理を身近なものにし、子供たちの「やってみたい」という好奇心を後押しする商品開発をしている。
その一つが、自宅で簡単にパン作りを楽しめる「ぱぱっとパン屋さん」。２００９年１０月末に発売され、今年４月までの約半年で３万６千個を出荷した。同社によると、憧れや興味があるものの、なかなかチャレンジしにくいことの１つに、パン作りがあるという。そこで、時間の長さやテクニックなど、素人にとって敷居となる要因を取り除くことをテーマとした。 まず、電子レンジを使用することで、生地の発酵時間を１５分程度に短縮。また、容器が２層の構造になっており、取っ手を回すと上層の材料が振るいにかけられて下層の材料と混ざり合う仕組みで、簡単に生地を練ることができる。振るいにかけながら落ちていくスピードやダマにならずに生地を混ぜる点など、商品化には苦労したそうだ。 味についても検討が重ねられ、プロの視点から、日清製粉がパンの焼き方や発酵時間などをアドバイスしている。 「玩具メーカーが出す商品のため、おいしさを期待している人はあまりいないと思います。でも、『本格的だけど簡単に』が弊社のクッキング・トイのウリです」（タカラトミー ライフマーケティングチーム・前田菜々氏）。 焼き上げにはオーブンやオーブントースターを使用し、基本のプレーンパンをはじめ、２２種類のパンが作れる。レシピにはないが、生地にバターを多めに入れてクロワッサンを作ったりと、好みでアレンジも可能。 「生地に野菜ジュースを練り込んだり、今後もいろんなバリエーションを紹介していきたいですね。自分の好きな具を入れて焼き上げれば、何千通りのパンが作れますよ」（前田氏） 親子で楽しめる玩具として発売したが、独身女性などにも興味を持ってもらえるよう情報を出していく予定だ。実際に２０代、３０代の女性から、友達と一緒にパンを作っているという声も聞かれるそうだ。 発売後は、主婦雑誌で特集を組んだり、モニターに作ったパンを写真で公開してもらったり、感想をブログで紹介してもらうなどのＰＲを行った。出荷先は、トイザラスなどの玩具専門店や家電量販店、ＧＭＳ、ロフトや東急ハンズなどの雑貨店など。ネット販売は全体の１０％程度のシェアだが、テレビや雑誌などで取り上げられた直後は一番反響が出るそうだ。 |
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| 大人をターゲットにした蕎麦とパスタ | ||||
「ターゲットを広げる意味もあり、人数の多い団塊の世代に焦点を当てた商品展開を考えたことがきっかけです。団塊世代の方々にアンケートを取ったところ、挑戦したい趣味の１位が陶芸、２位が蕎麦うちでした。そこで、陶芸ができる『ろくろ倶楽部』と蕎麦うちができる『いえそば』を開発したんです。『いえそば』は、クッキング・トイとしてよりも大人市場を狙った商品ですが、ヒットになり、クッキング・トイ展開の契機になりました」（前田氏） また、ショートパスタ７種類とロングパスタ１種類が作れる「パスタパスタ」は、２０〜３０代の独身女性がターゲット。実際は３０〜５０代の男女の購入者が多く、夫婦で使用するケースも多いそうだ。 一昨年頃よりブームの生キャラメルが簡単に作れる「生キャラメルポット」は、去年４月末の発売から人気を維持している商品だ。店舗で買えば１２粒で８００〜９００円と高価な生キャラメルが、同商品を使用すれば、１回約１００円の材料費ですむ。 「食品メーカーの味に負けないものを作るというより『この料理を作ってみたいけど、ここが楽になったらいいのに』という消費者目線で、自宅で誰でも手軽に楽しめるおいしさの提供をモットーとしています」（前田氏） | ||||
| バンダイのクッキング・トイシリーズ「クックジョイ」 | ||||||||||||||||
に工夫し、家族で楽しめるよう「主食」料理が基本だ。女児に限らず、家族ぐるみで楽しむケースが多く、ＯＬがお弁当作りに活用する例もあるそうだ。 「食卓での家族のコミュニケーションを重視するというコンセプトを受け入れてもらえると信じて商品化しました。シリーズ化していくことで、家族の食卓がより楽しくなってもらえれば、と願っています」（バンダイ社長室広報チーム・南川光氏） | ||||||||||||||||
| 「作って楽しむ」ニーズは不変
クッキング・トイ人気は、不況や巣篭もり消費ブームとの関連性はあるのだろうか？
「昨今の不況とクッキング・トイの発売は時期的に重なり、追い風になったことは間違いないと思います。でも、弊社は今後もひとつの柱としてクッキング・トイを続けていく予定ですし、ネガティブな要因がなくなっても、作って楽しむというクッキング・トイのニーズは変わらないと思います」（前田氏）。 「ブームの要因の全てではなくても、関連性はあると思います。内食ブームという時代背景と商品コンセプトが合致したのでしょう」（南川氏） これからは、賢いグルメの方法のひとつとして、クッキング・トイを利用するのもアリかもしれない。（Ｕ） |
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