本質的なコンセプトのイノベーションを起こせ - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(30) - ブランスリー電子版


ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る写真をクリックすると拡大写真が見られます。
連載/2019年11月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


本質的なコンセプトのイノベーションを起こせ - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話(30)
 ここ7〜8年で、売り場が5坪ぐらいの小さなベーカリーが、かなり多くなっているという印象を持っています。さらに、客が3人入ったらいっぱいになってしまうような、売り場2坪、3坪のベーカリーも少なくありません。規模が小さいと商品の回転も遅くなる傾向があるので、アイテムごとの1回の焼成数を極端に少なくしない限り、焼きたてのパンを頻繁に出すのは難しくなります。
 しかし、リテールベーカリーの最大の魅力は「焼きたて」であることは間違いありません。
 パンの味や食感、香りの評価は、それを味わう客の主観によるところが大きく、ある客にとっては好ましい味や食感、香りも、別の客にとっては好ましくないということも頻繁に起こり得ます。
 これに対して、「焼きたて」の魅力は客を選びません。ベーカリーに入ってきて、自分の買うとしたパンが焼きたてで並んでいて、がっかりする客を、私は、20年以上パン業界で仕事をしてきて、ただの一度も見たことがありません。
 では、日商が10万以下の小規模ベーカリーは、「焼きたて」という武器を手に取って戦うことはできないのでしょうか。
 私がよく知っている売り場が3坪ぐらいのベーカリーは、近所の人たちから大きな支持を得ていて、私も頻繁に通っていますが、かなり高い頻度で焼きたてに遭遇します。基本的には、9時のオープン時と、午前11時頃、午後1時半頃の1日3回パンが焼き上がってくるので、午後3時ぐらいまでに行けば、焼き上がってから2時間以内ぐらいパンは必ず選んで買うことができます。
 一昔前は、ベーカリーの厨房といえば、早朝から種類ごとに生地を順番に仕込んでいって、順番に焼成し、お昼ぐらいまでには、すべてのパンを作り終わって、午後は、販売スタッフだけでパンを販売するというスタイルのオペレーションが多かったようです。製法はほとんどがストレート法で、当然すべてのアイテムについて、焼成回数は1日1回になります。
 前述の私がよく知っている小さなベーカリーも、基本はそのスタイルに近いと思いますが、本質的な違いがひとつあります。
 つまり、焼ける状態になった生地を成り行きで順番に焼いていくのではなく、集中してパンを焼き上げる時間を開店時間から、2〜3時間間隔で割り振って、アイテムごとの焼き上がり時間を決め、焼きたてが並ぶタイミングを、なるべく遅い時間にまで割り振ろうという意思があるということです。
 各アイテムの焼成回数は1日1回でも、「早く効率よく1日の仕事を終わらせてしまおう」という価値観から「なるべく長い時間にわたって、客に焼きたてを提供できるようにしよう」という価値観へ劇的に変化しているのです。
 この考え方でオペレーションを考え、しかもストレート法だけではなく、長時間発酵を利用した製法なども併用すれば、日商10万以下の小規模ベーカリーでも、「焼きたて」という武器を手にすることができるのではないかと思います。 
 このように、厨房の設備やスタッフの人数はほとんど変わらなくても、人間の脳内での本質的なコンセプトのイノベーションが起きれば、客に対するベーカリーのサービスの在り方は劇的に変わるのだと思います。(RO)







原価計算女王
原価計算女王

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

今月の公開記事

  1. POLINの高性能オーブンを日本市場へ 。450℃の焼成力と緻密なヒーター制御 - スズキ産業の下河拓磨社長
  2. 見やすい売り場と旬の味で、地域が誇れるベーカリーへ - アリマベーカリー
  3. 「ちいかわ」の世界観を表現したパンと店づくり - ちいかわベーカリー
  4. 掲載から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文を公開しています。
    ブランスリーアーカイブ
ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら