パンと雑貨の両方を扱うことが多角的営業を可能にする - A:GOSSE(アーゴス) - ブランスリー電子版


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お店拝見/2022年2月号

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パンと雑貨の両方を扱うことが多角的営業を可能にする - A:GOSSE(アーゴス)
店主の丸山雅裕さん
「A:GOSSE(アーゴス)」の外観
ウサギのイラストが目を引く看板
高さのある見た目の「クリームパン」(税込250円)は一番人気
「クリームパン」の断面
焼成前の「クリームパン」。型に入れて焼き上げる
移転前から続けている雑貨販売

 日本一の温泉源泉数を誇る大分県別府市、そこここに湯煙が立ち上る風景の中に、ベーカリー「A:GOSSE(アーゴス)」はある。周囲には観光地が点在する住宅街だ。
 大通りから一本入り、民家が立ち並ぶ通りを行くと、クロワッサンを手にした愛嬌のあるウサギのイラストが描かれた看板が目に入る。ウサギの横には店名と「パンとちょこっと雑貨」の文字が書かれている。イラストの作者は店主の丸山雅裕さんの妻、亜紀子さん。
 「パンと雑貨、両方の雰囲気を持たせました。ウサギのパン屋さんって覚えてくれているお子様もいるんですよ」(亜紀子さん)
 同店は年に数回、丸山さん夫妻の知人らの協力を得て仕入れた雑貨を販売するイベントを行っている。コロナ前夫妻自ら買い付けに行っていた。最も盛り上がるのは12月のクリスマス雑貨販売で、昨年の開催時はクリスマスオーナメントやマトリョーシカなど600個ほどを扱った。
 「クリスマスは雑貨とパン両方の繁忙期です。パンは、クリスマス限定メニューやドイツ人シェフ直伝のシュトーレンなどもあり、お客様が毎年の楽しみにしてくださっています」(亜紀子さん)
 同店は、現在の場所から約20キロ離れた湯布院町での約10年の営業を経て、一年半前にこの地へ移った。雑貨販売は移転前から行っていた。移転後、店舗面積は倍近くになり、パンの製造数も増え、多いときには移転前の3倍にもなる。しかしパンだけに絞ることなく、雑貨販売を続けてきたことについて、亜紀子さんは次のように話す。
 「雑貨の販売を行うことで、お客様のことをより詳しく知ることができると思っています。雑貨を選んでいる間にどんな傾向のものが好きなのかなどについて、色々お話をさせていただくのですが、『だからこういうパンが好きなんだ』といった具合いに、お客様の好みを色々な角度から知っていくことができるんです。それが、パンの販売にも活かせるんですね。つまり、どんなパンを提案したら喜んでくれるのか、といったことが分かるようになってくるんです」
 昨年6月には、「ラトビアの籠市」と題し、ラトビア製の手編みかごの販売会を行った。そのときに購入したかごで、パンを購入に来る客もおり、「お客様の日常に花を添えることができて嬉しい」(亜紀子さん)という。
 「お客様にとってだけでなく、私たちにとっても、好きな雑貨を扱えて楽しませていただいています。そして、パンの製造販売がうまくいっているのは、雑貨販売と並行して行っているからだということも実感しています。片方だけだと息が詰まってしまいそうな気がするんです」(亜紀子さん)

搾りたての牛乳を使うからこそのおいしさ

 パンの製造は丸山さん夫妻を含めて現在3〜4人で行っている。移転前より製造体制を強化し、製造量を増やした。また、営業時間が長くなった。
 「湯布院は旅館やホテルが多く、観光地色がここより強いですから、日ごとの売り上げの増減が激しかったので、売り切れ次第閉店するようにしていました。ですが今は、会社帰りに寄ってくださるお客様もかなりいるので、閉店時間までできるだけ商品を切らさないように営業しています」(丸山さん)
 現在毎日売り場に並ぶパンの種類は約30種類。そのほか、旅館やカフェにそれぞれ専用のレシピで作った食パンやバンズを届けている。
 移転前からの不動の一番人気は、高さが8センチほどあるボリュームのある見た目の「クリームパン」(税込250円)。一日に6回ほど焼き上げ、多い日は150個以上売れる。
 「クリームパン」に使うパン生地は、水を使わず湯布院にある塚原牧場の搾りたての牛乳で仕込む。焼き上げるとほんのり甘く、ふんわりとした食感に仕上がる。カスタードクリームも、搾りたての牛乳をたっぷりと使い、砂糖は鹿児島県喜界島産の洗双糖、卵は久住高原の平飼いされた鶏の卵を使用して作っている。
 「クリームパン」は、かなりボリュームがあるが、実際食べてみると重さは感じない。中のクリームも含め全体がすっきりとした味わいで、後味はまるで搾りたての牛乳を飲んだ後のような爽やかさがある。
 「搾りたての牛乳はチーズ職人の方に届けていただいています。搾りたての牛乳でないと、この味は出せないんですよね。塚原牧場のある由布岳の麓にある当店だからこそ、作れるおいしさだと思っています」(丸山さん)
 搾りたて牛乳で仕込むのはこのほか、「みるく食パン」(税込430円)、「シナモンロール」(税込240円)、「あんぱん」(税込190円)などの生地だ。
 「クリームパン」の次に人気なのは「クロワッサン」(税込190円)。生地に胚芽を入れているため、やや茶色味が強いのと、独特な歯触りと噛み応えがあるのが特徴だ。
 「オニオンデニッシュ」(税込250円)や「ラムレーズン」(税込240円)、「マロン」(税込300円)なども、「クロワッサン」の生地を使用している。それぞれのフィリングやトッピングが、胚芽入りのパンと融合して味に深みが増している。



胚芽入りの生地で作る「クロワッサン」(税込190円)
「クロワッサン」の断面
赤系の壁とダークな木目調が落ち着いた雰囲気を醸し出す店内
店内には、約30種類のパンが並ぶ
季節限定で販売している「珈琲サンド」(税込500円)は、珈琲入り食パンに、生クリーム、コーヒークリーム、コーヒー豆チョコレートなどをサンド。予約で完売するときもある人気商品
「おいしそうなパンが作れそうだね」

 丸山さんは大分県出身だが、開業する前、東京で働いていたこともあった。そのとき、パン好きの知人の影響でパンを食べる機会が増え、おいしいパンにたくさん出合ったという。その後大分に戻ると、自分好みのパンがなかなか見つからなかった。あるとき評判を聞きつけ、熊本のベーカリー「そらいろのたね」に行ってみたところ、クロワッサンやクリームパンなどが、感動するおいしいさだったという。
 丸山さんは、「そらいろのたね」で修行後、自店をオープンした。
 「『そらたね』さんは、パンがおいしいだけでなく、作り手のオーナーがとても親しみが持てて面白く、みんなのお父さんのような雰囲気を持っている人だというところにも憧れがありました。そんなオーナーに、修行で入った当初『経験ないけどおいしそうなものが作れそうだね』って言われたことが、ずっとこれまで続けてこれた励みになっているんです」(丸山さん)

SHOP DATA
店名:A:GOSSE(アーゴス)
住所:〒874‐0842 大分県別府市小倉4組−3
電話:0977‐75‐9224
営業時間:午前9時〜午後6時
定休日:日曜、月曜
品揃え:約30品目
スタッフ:製造常時3〜4人、販売常時1〜2人
店舗面積:売り場約7坪、厨房約7坪
売上:日商平日約12万円、土曜約15万円(雑貨販売は除く)



この記事の読みどころ

●雑貨を通しての顧客とのやり取りから、顧客が欲しているパンが何かがわかる。
●不動の一番人気は、高さが8センチほどあるボリュームのあるクリームパン。
●「経験はないけどおいしそうなものが作れそうだね」と修業先のオーナーに言われたのが心の支えに。





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