食べる人のことを考えたパン - リンデンバウム - ブランスリー電子版


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お店拝見/2020年9月号

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食べる人のことを考えたパン - リンデンバウム
店主の舟久保勝男さん
「リンデンバウム」の外観
5坪の売り場に50種類ほどのパンや菓子が並ぶ。商品は汚れないように袋に入っている
パン作りに使う水を、植物などと一緒に透明の瓶に入れてその様子を観察している
よりいいものにするために挑戦を続ける

 神奈川県横浜市鶴見区のベーカリー「リンデンバウム」は1988年、平成に改元される少し前に店主の舟久保勝男さんが開業し、今年32周年を迎える。
 店舗のガラス窓にある「天然酵母」「無添加パン」「国内産小麦粉」の3つの言葉。これらは「体にいいパンを届けたい」という舟久保さんの、パン作りにおける基本だ。さらに、使う水にも相当なこだわりがある。
 水の説明のために、店内で見せてもらったのは、実際にパン作りに使用している水を、透明な瓶に入れて長期間保存しているものだ。瓶は4〜5本あり、それぞれ、花や、元は錆びていたという鉄釘などが水に浸かった状態で入っている。古いものは10年ほど前の日付が記されたシールが貼ってある。
 「花が入っているのに水は腐っていないし、釘は水の中で還元されて錆が取れているんです。人の体もパンも、ほとんど水でできているのですから、いい水を使わなければいけないと思っています」(舟久保さん)
 水は、「水道水に遠赤外線と、ミネラルを吸収させるなどして改質したもの」(舟久保さん)で、仕込み水だけではなく、パン作りに使うすべての水に使用している。実際の効果としては、仕込むときの吸水の良さや、できたパンの日持ちの良さ、冷凍耐性の良さなどがあるという。
 「よりいいものをという思いで作っている自分のパンが、数値で表したらどうなるかという興味があって、食味検査や波動検査を行っています。食味検査によると焼成後3日後においしさのピークを迎え、波動検査では、高い生命力を持つ食品であるという結果が出ています。生きている食べ物を届けたいと思っています」(舟久保さん)
 売り場には、パンが50種類ほど並ぶが、ハード系以外はすべて袋に入っている。新型コロナウイルス対策ではなく、30年前からこのやり方だという。
 「パンをむき出しで並べたら埃や雑菌が付くし、子供が触ってしまうかもしれないでしょう。野菜や果物は食べるときに洗えるけど、パンは洗えないですからね。昔からそういう考えで袋に入れていたんです」
 一方、ハード系は湿気の弊害が大きいため袋に入れていないが、汚れが気になるようなら、水で軽く洗ってからトーストしてもらうように勧めているという。「うちのハード系は洗っても平気なんです」と舟久保さん。

前職の経験を活かして結果を出す

 舟久保さんは脱サラしてパン職人になった。10年弱勤めた鉄鋼業の会社で大きな異動があったことがきっかけだった。
 「造船の仕事が好きで働いていたのですが、異動して新しいことをやるのなら、会社に固執する必要はないのかなと思いました。妻に相談すると、ゼロからのスタートになるんだったら、全く違う職業に就くのが面白いんじゃないかということになり、その当時のつてを頼って、あるベーカリにお願いして、見学させてもらいました。見学に行くと決めたときには心はすでに決まっていて、そのままそこに就職させてもらいました」(舟久保さん)
 それから、修業先となったそのベーカリーでは、師匠となる社長と舟久保さんの2人体制で製造するのが常となる。
 「師匠は、私がまだ何もできないときから、給料をくれ、製粉会社主催の研修にも行かせてくれました。研修では率先してパン作りに参加したり、人が1年かかるところを3カ月でやろうという気構えでやっていました。その店は、個人店ですが、販売はレジを2台使ってさばくほどの繁盛店でしたので、たくさん作りましたね」(舟久保さん)
 数年経ったあるとき、製粉会社や他店の人々が舟久保さんが働いていた店に見学に来ることになった。舟久保さんの師匠と舟久保さんが成功させた「成形冷蔵法」を見学するためだ。
 「当時研究はされていましたが成功させた話はなかったので、業界の人たちが見学に来ました。『成形冷蔵法』の鍵となるのはパン生地の温度管理で、それができる厨房の設備や装置を師匠と作ったんです。前職の経験を活かせたと思います」(舟久保さん)



自家製酵母を使用したパンが並ぶ。食パンは「こだわり田舎パン」(税抜540円)や「全粒粉食パン」(税抜630円)など。調理パンは「ピザパン」(税抜260円)や「シメジピザ」(税抜260円)など
「こだわり田舎パン」の断面
「シメジピザ」の断面。調理パンはバターロール生地を使用している
食べる人を第一に考えて作る

 修業先では、みっちり3年間勤め、師匠から独立の許しを得て、35歳のとき自分の店を開業した。その翌年、姪のアレルギーがきっかけとなり、パンに対する考え方が変わる。
 「世の中に出回っているあらゆる食べ物が、どういうものなのかということに興味が沸いて、食品表示を見たりして調べました。作り手の都合を考え、食べる人を二の次にする添加物を使用するのはよくないと思いました。それから小麦を国産にしたり無添加にこだわったりして、材料を厳選し直したんです」(舟久保さん)
 レジは舟久保さんの妻が担当していたが、約10年前から舟久保さんがレジもメインで担当するようになった。また、品揃えは130アイテムを揃えていたときもあったが、半分以下の50に減らし、厨房での仕事量をセーブした。
 「特別なパン屋だと思われているんでしょう。だから、お客様からパンに限ることなく、食について色々な質問を受けることがあります。そうすると、私がレジに出ている方がスムーズに答えられますし、作り手本人が答えることで信頼性が増すと思っています」(舟久保さん)
 様々な季節の果物と水にこだわって作っている自家製酵母と、小麦、塩、水のみで作る「こだわり田舎パン」(税抜540円)は、舟久保さん一押しの食パンだ。
 「おいしいパンというのは誰でも作れると思っています。おいしいレシピを作るというのではなく、いい素材を使い、その素材の元の状態をできるだけ維持しながらパンに仕上げたいと考えています。素材を活かしたシンプルな味のパンは、料理を活かすことができます。また、食べる人のことを考えて作っていることが伝われば、作り手と食べる人の繋がりができると思っています」(舟久保さん)
 同店には、体の不調を改善したいという目的を持って来店する人も多い。
 「食後に胃が重くなることがよくあるのに、うちのパンを食べた後はそれが一切ないと言ってくれるお客様がいて、嬉しいですね」(舟久保さん)

SHOP DATSA
店名:リンデンバウム
住所:〒230‐0011 神奈川県横浜市鶴見区上末吉5‐3‐22‐103
電話:045‐583‐3858
営業時間:午前9時〜午後6時45分
定休日:日曜、祝日
品揃え:約50品目
スタッフ:製造常時1〜2人、販売常時1人
店舗面積:売り場5坪、厨房15坪
日商:10万円(通販と卸販売を含む)



この記事の読みどころ

●水に強いこだわりを持ち、「水道水に遠赤外線と、ミネラルを吸収させるなどして改質したもの」を使用している。
●素材を活かしたシンプルな味のパンは、料理を活かすことができる。
●食べる人のことを考えて作っていることが伝われば、作り手と食べる人の繋がりができる。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。





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