ベーカリーの本音取材 - クレームの上手な処理方法 - ブランスリー電子版


ブランスリーアーカイブ(創刊号からの全記事)
記事の閲覧
<<戻る
特集/2002年10月号

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。


ベーカリーの本音取材 - クレームの上手な処理方法

ベーカリーのオーナーらに、クレーム対策について取材した。匿名を条件に、できる限りありのままの姿を話してもらった。つり銭の間違いや、パンの品質についての苦情、異物混入についてのクレームなどがあり、その原因究明と再発防止、クレーム主への対応に、試行錯誤を重ねている姿が浮き彫りになった。



対応が早ければ早いほどいい。過剰なお詫びの品は逆効果 - ベーカリーA(関東)

すぐに顧客のところに出向く
質問 どんなクレームがありますか?
答 「つり銭が少なかった」というクレームです。それと例えばミルクフランスのミルククリームが入っていなかったなど商品の不備についてのクレームもあります。あとは数は多くありませんが、異物混入です。特に髪の毛が入っていたというのが多い。
質問 クレーム対してどのような対応をしていますか?
答 どんなクレームに対しても、とにかく一刻も早く、お客様のところへ出向いていくようにしています。電話でクレームを言ってくるお客様が多いのですが、電話であれこれ話しているよりも、なるべく早く電話を切り上げて、お客様のところへ行くようにしています。クレームが来て、あせっている状態でお客様と会った方が「申し訳ない」という感じが素直に伝わります。時間が経ってしまうと、あせる気持ちも薄れてしまいますから。
質問 忙しい時などすぐに出向いていけない場合もあるのでは?
答 どんなに忙しくてもすぐに出向いていきます。すぐに出向いていけないのは、お客さんの家が遠方にある場合や、お客さんが名前や住所を言わない場合、またはお客様が「次に買いに行ったときでいい」と強行に主張する場合などです。それと、朝出勤途中で買っていかれて、会社から電話してきた場合などもすぐに出向いていけません。できる限り名前と住所を聞き出すようにして、すぐに出向いていけるように努力をしますが、どうやってもそうできない場合もあります。
質問 その場合はどうするのですか?
答 お客様が次に来店したときに対処します。しかし、クレームを言ってきたお客様が誰であるかがまったくわからない場合は、何ともしようがありません。

顧客の言うことをよく聞く
質問 どんなクレームにどんな対処をするかについて教えてください。
答 「つり銭が少なかった」と言ってきたお客様に対しては、すぐに不足額を返金します。
質問 クレームを言ってきた人が勘違いしていることもあるのでは?
答 基本的にお客様を信用して、すぐに対処するようにしています。ただ、金額が大きい場合は、閉店後の売上チェック時に、お客様の主張が正しいことを確認してから対処する場合もあります。
質問 その他のクレームに対しは?
答 ミルクフランスにミルククリームが入っていなかったとか、髪の毛が入っていたなどの商品の不備についてのクレームに対しては、まず、交換するための同じ商品と、お詫びの印として別の商品を何品か持っていきます。変わりの商品はいらないのでお金を返してほしいと言われる場合もあるので、お金も持っていきます。お客様の家に着いたら、絶対に言い訳をしないことが大事だと思っています。お客様の言うことをよく聞いて、買ったときの状況を把握し、クレームの商品をその場で確認し、「今後同じことが起きないような対策を講じますので」と言って、必ず問題の商品をもらってくるようにしています。お客様は、自分の言うことがきちんと店に伝わったということである程度納得してくれる場合が多いようです。
質問 そのほかに注意していることはありますか?
答 クレームの内容を聞いて、例えば「担当のスタッフによく言っておきます」などと、謝りに行った本人以外が悪いような言い方は絶対にしてはいけません。お客様にとっては、「出向いて行った本人=店」なわけですから。それと、お詫びとしてパンなどを贈呈する場合に、過剰になってはいけないということです。お客様によっては、たくさん差し上げると喜ぶ場合もありますが、「そんなつもりで、クレームを言ったわけではない」と、逆に気分を害されるお客様も多いように思います。逆効果になってしまうので気をつけています。

顧客の言うことは正しいという前提で…
質問 店側の落ち度ではないと思われる苦情もありませんか?
答 基本的にお客様の言うことはすべて正しいと言う前提で対処しています。いちど、「クリームパンを3つ買ったが、袋に入っていなかった」と言ってきたお客様がいました。お客様のところへ謝りに行く途中で、クリームパンが3つ道に落ちているのを発見しました。よく見るとウチのクリームパンでした。でも、そのことはお客様には言いませんでした。クレームは、対処の仕方によっては、お客様を減らしますが、逆に増やすということも言えると思います。クレームの原因をなくすためのできる限りの努力をして、万が一クレームがあったら、誠意を持って対処することが大事だと思います。

●申し訳ない気持ちであせっている間に、すぐに出向けば、申し訳ない気持ちが素直に伝わる。



原因を突き止めて2度と起きないようにする - ベーカリーB、C、D、E(関西)

関西のあるベーカリーに、クレームについての取材を申し込んだところ、同ベーカリーオーナーの計らいで、同ベーカリーを含む4軒のベーカリーのミニ座談会が実現しました。

つり銭不足や異物混入など
関西のあるベーカリーに、クレームについての取材を申し込んだところ、同ベーカリーオーナーの計らいで、同ベーカリーを含む4軒のベーカリーのミニ座談会が実現しました。
◇
質問 それぞれどんなクレームがあって、どのように対応しているかをお聞かせください。
ベーカリーB モルダーのカスなどの異物混入や、天板カスの付着などがあります。あと、レーズンパンの生地を大量に仕込んだ際に、レーズンどうしがくっついたままの状態でパンに入っていたことがあり、クレームの対象になりました。また、パンについている小麦粉を白カビと間違えて苦情を言ってきたお客様がいました。
質問 対処方法は?
ベーカリーB クレームがあった場合は、必ず文書で記録するようにしています。クレームを記録するための決まった書式があります。クレームの原因が、工場の中のどこにあるのかを調べて、現場のスタッフにきちんと伝えます。月に1回のミーティングのときに、議題にもします。クレームがあったとき、特にウチのパンを食べて歯が折れたとか、お腹をこわしたというような場合は、自分がそのお客様のところに謝りに行きます。
ベーカリーC つり銭が少なかったというクレームが多いですね。最初は、その場で対処していましたが、ある時から、1日の営業が終わって、売上金とレジの記録とを照合して、売上金が多いことを確認できた場合だけ、お金を返金するようにしています。おつりを間違えたことが判明した場合は、不足分のおつりを返金し、さらにパンを差し上げることにしています。もし、売上金とレジの記録がぴったりと合った場合は、苦情を言ってきたお客様に丁重にその旨を話して、お金は渡しません。
質問 ほかにどんなクレームがありますか?
ベーカリーC 異物混入もゼロではありません。タオルの糸クズなんかが入ってしまったことがありました。いちどバンドエイドが入ってしまったこともありました。それと、気をつけなくてはならないのが、籐製の備品です。籐のすのこがほつれてパン生地の中に入ってしまったことがありました。ガラスの破片などにも気を使います。なるべくガラス製の物は使わないようにしています。それと、粉虫にも神経を使っています。
質問 そうした、クレームにはどう対応するのですか?
ベーカリーC とにかく謝るより仕方ありません。原因を突き止めて、2度と起きないようにすることが大事です。籐のすのこの破片が入っていたときは、幸いお客様の口には入らなかったのですが、すぐにケーキを持って謝りに行きました。

顧客の路上駐車が問題に
ベーカリーD ウチが一番悩んでいるのは、お客様の路上駐車です。店の前の道は2車線なのですが、両サイドに車をとめるとトラックなんかは通れなくなってしまいます。開店前の予想よりお客様が多く来てしまい、多いときだと10台以上が前の道にとまってしまいます。近所の人からの苦情が相次ぎ、警察からも注意を受け、駐車場を作りました。ただ、2台しか収容できないのでまだ足りません。
質問 ほかにはどんなクレームがありますか?
ベーカリーD パンの品質についていろいろといってくるお客様は少なくありません。「今日のパンは焼き過ぎ」とか「いつもより小さい」とかいろいろです。そういうときは素直に非を認めて謝ります。
ベーカリーB ウチはレストランにパンを卸していますが、料理人の方は、気泡が細かくて均一なパンを好む傾向があると思います。「このフランスパンは、気泡が細かくていいですね」としみじみ言われたときは、複雑な思いでした。(笑)
質問 ベーカリーEさんでは、どんなクレームがありますか?
ベーカリーE ウチはなぜかこれまでクレームらしいクレームがないんですよ。

●クレームはすべて文書に記録して、原因を突き止め、対策を練る。

●つり銭についての苦情は、レジを閉めるときに確認してから対応する

●予想以上の来店客があり、来店客の路上駐車に頭を悩ませている。

●これまでクレームらしいクレームはなかった。



原価計算女王
原価計算女王

2023年11月18日から、発行から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

今月の公開記事

  1. POLINの高性能オーブンを日本市場へ 。450℃の焼成力と緻密なヒーター制御 - スズキ産業の下河拓磨社長
  2. 見やすい売り場と旬の味で、地域が誇れるベーカリーへ - アリマベーカリー
  3. 「ちいかわ」の世界観を表現したパンと店づくり - ちいかわベーカリー
  4. 掲載から1年を経過した記事は、会員の方以外にも全文を公開しています。
    ブランスリーアーカイブ
ブラ立ち読み
(記事の無料メール配信)
詳細はこちら