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連載/2017年9月号
「成功への道はここにあるよ」という微かな声 - 普通のパン屋さんが普通に頑張れば繁盛出来る話
 ある繁盛ベーカリーのオーナーが「50歳になって自分が製造の中心にいて、月々のオペレーションがまわっているだけだったら、多少の余裕があったとしても、それ以降、それ以上のことは決して起こらない」と言っていた。私も含めて、おそらく多くの人にとって、耳の痛い話しではないだろうか。
 ベーカリー経営に限らず、ビジネスには、企業体として、何を目指し、手や足をどのように動かしていくかを決めるブレーンの部分と、ブレーンが決定した目標を達成するための日々の作業を実践していく作業部隊の部分がある。ベーカリーの場合は、「オーナーブーランジェ」であることが多いので、ブレーンの部分と作業部隊の部分が同じ人の中に存在することが多い。要するに、自分で方針を決めて、それに伴う作業もすべて自分で行うということだ。
 最初のうちは、この試行錯誤の繰り返しの作業をオーナーが1人で行っていても、少しずつ成長していくものだが、そのうち頭打ちになってくる。成長が進むにつれ、日々のルーティーンの作業量が増えてきて、それに忙殺され、ブレーンの部分の活動が鈍くなってくるのだ。
 この段階で、オーナーの日々のルティーンの作業の負担を軽くするために、アルバイト的な労働力を導入するケースも多いだろう。すると、オーナーが、ブレーンの部分の活動に集中できる度合いが回復するので、再び成長軌道に乗ることも多いが、注意しなければならないのは、オーナーのブレーンの部分の活動の不調が、日々の作業に忙殺されて時間がないからではなく、オーナーのブレーンから出て来るアイデアが枯渇してしまったからだということもあるということだ。
 人間の知的能力というのは、その得意とする分野というものもあるので、1人の人間が、長期的にあらゆる分野のアイデアを駆使して、自分のビジネスのとるべき戦略を構築し続けることは、難しい場合が多いといえる。
 だから、次の段階は、自分以外のブレーンと共に活動することだ。いきなり、スタッフとしてブレーンを迎えるのに不安があるのなら、社外で定期的に情報交換ができる有能は人と公私ともにお付き合いするという選択肢だってあるだろう。「1人よりも2人、2人よりも3人」ではないが、やはり、質の異なる優秀なブレーンが複数結集すれば、よりよい知恵も出てくるというものだ。
 ただし、複数のブレーン体制に移行する場合の注意点がひとつある。それは、決定権はオーナーが死守するということだ。オーナー以外のブレーンが主体となって決定された事業計画であっても、必ずオーナーがその事業計画を精査し、自分の中で消化しておくことが重要だ。
 ここまでくれば、様々な事業計画を具体化していくための作業部隊の規模も大きくなっているはずだ。作業部隊の能力を向上させることも重要になってくる。当然売上の規模も大きくなってくるので、ちょっとした判断ミスが、莫大な金額の損失となってしまう場合もあるので、かなりの注意が必要だ。
 ベーカリーに限らず、ビジネスを遂行していくということは、高度な知的作業と言えるが、無我夢中で試行錯誤を繰り返していると、たまにではあるが、人知を超えた何ものかが、「成功への道はここにあるよ」と、微かな声で囁くことが必ずある。この微かな声を聞き逃さないようにしなくてはならい。(RO)


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