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お店拝見/2018年9月号
ダイユーが直営のベーカリーを開業 - 石窯パン工房コムギノホシ
パンを星に見立て、店内にパンが並ぶ様子が、満天の星に見えるように演出している
製造スタッフの下山晋哉さん
「石窯パン工房コムギノホシ」の外観。コンビニエンスストア跡地を利用しての開業
目に触れるものの細部にまでこだわる

 ドアを開けて見える焼きたてのパンが並ぶ様を、「満天の星のようにしたい」という目標を持って、オープンしたベーカリーがある。東京・練馬区の「石窯パン工房コムギノホシ」だ。
 店内は、白が基調で全体的に明るいが、約20個ものスポットライトによって、商品のパンは照らされ、浮かび上がるかのように目に入ってくる。まさに、パンを星に見立てた満天の星と言える、目標通りの光景が広がる。
 レアチーズケーキ風の菓子パン「ホシノレアチーズ」(税抜220円)や、キャラメル、ショコラ、アーモンドを使い、香ばしく焼き上げた「ホシノキャラメル」(税抜200円)など、パン自体が星の形をしているものもある。これらは、入り口すぐ横の棚に並び、入店したばかりの客の期待に早々に応える。
 「お客様が、わくわくしたり、非日常を感じられるような空間にしたいという思いがありました。そして、パンが主役として、店内にきらめくように並ぶようにしたいと、満天の星をイメージした店づくりを行いました。焼きたてのパンを続々と売り場に並べていきたいですね」
 こう話すのは、パンの開業支援を行う会社、ダイユーのプロデューサー、高柳友洋さん。
 同店は、同社初の直営ベーカリーとして、今年3月にオープンした。
 満天の星のイメージは、パンや店舗の内外装だけでなく、ショップカードや買い物袋、食パンの封止めなどの小物のデザインにまで浸透している。その狙いについて「お客様の目に触れるもののすべてから、当店が表現したいことは伝えられるのではないかと思っているからです」と高柳さんは話す。

店内は白が基調で明るく、開放的な雰囲気
レアチーズケーキ風の菓子パン「ホシノレアチーズ」(税抜220円)など、パン自体が星の形をしているものもある
「ホシノレアチーズ」の断面
一見野菜サンドに見えるほど色鮮やかな野菜をたっぷり使った「ツナ&テリヤキチキン」(税抜280円)
ベーシックな商品と独自性の高い商品

 現在並ぶ商品は100種類ほど。ダイユーが開業支援の際にこれまで顧客のベーカリーに、定番人気商品として販売を提案してきたカレーパンやクリームパン、塩パン、クロワッサンなども並ぶ。
 「カレーパンやクリームパンなどベーシックなアイテムは、老若男女問わず人気の味わいで、これは当社の強みでもあります。『ホシノレアチーズ』など星形のパンは、当店のオリジナルとして、新たに開発したアイテムです。さらに、バーガーやサンド、デニッシュにも、当店らしさを感じていただけるように、特徴を持たせています。若い女性や、インスタ映えを意識し、彩りの良さを重視して仕上げるようにしています」(高柳さん)
 サンドイッチの定番の具、ツナなどをサンドした「ツナ&テリヤキチキン」(税抜280円)は、一見野菜サンドに見えるほど、ニンジンや紫キャベツ、グリーンリーフなどの野菜をふんだんに使い、彩り豊かに仕上げている。
 紅芯大根、赤パプリカ、黄パプリカ、ズッキーニにバーニャカウダソースを合わせ、ラウンド食パンでサンドした「たっぷり野菜のバーニャラウンド」(税抜300円)も、色の濃い野菜がふんだんに使われている。同商品は、夏向け商品として企画し、発売したばかりの新商品だ。「夏はたっぷり野菜を食べよう!」と書かれたカラフルなPOPが立てられている。
 新商品開発は、商品そのものだけでなく、販売に使う小物などの用意も考え、計画的に行うようにしている。
 「試作は、月ごとの商品なら発売予定の前の月、季節商品なら前々月には行うような予定を立てています。POPやプライスカードなど、商品そのもの以外の用意にも、時間はかかるので、合わせて作ります」(高柳さん)
 厨房は26坪と広く、機械や機材も充実させた。窯は3種類あり、平窯、スペイン製電気式石窯、コンベクションオーブンの3台だ。店名に冠した石窯は、スペインから機材を取り寄せ、スペインの職人が来日して造った自慢の窯だ。
 フリーザー2台、ドゥコンディショナー2台、分割機は生地の性質に合わせて2種類。その他にも、カスタードクッカーなど、容量の多さだけでなく用途の幅広さにもこだわって揃え、様々なタイプの商品を作ることができるようにしている。商品開発に一層力の入る環境だ。

「夏はたっぷり野菜を食べよう!」と書かれたPOPや星形のプライスカードも
ビニタイは星形の飾りを付け、買い物袋は素材と色に特徴を持たせた
機材の種類やスペースなどが充実した環境の厨房
顧客とスタッフの動線を別々に設定する

 同店のスタッフは、総勢40人ほどおり、製造担当の下山晋哉さんはこれまで、ダイユーが、顧客である全国のベーカリーに「応援員」として派遣するパン職人のひとりとして働いていた。
 「今まで、応援員として働かせていただいたベーカリーは、従業員が4〜5人ほどの個人店が主でした。ですので、当店のような規模だと、スタッフも大人数に感じます。入った当初は、未経験だったスタッフもいますので、この1年で皆でどれだけ成長していけるかを楽しみに、頑張っていきたいと思っています」(下山さん)
 ほかにも、下山さんがこの1年で特に課題として上げていることは、客の好みを知ることだ。そのため、客との接点も大事にしている。
 「窯で作業をしているときに、レジに並ぼうとするお客様から、気軽に声をかけてもらえます。先日は、食パンの、山型と角型の違いを訊ねられ、喜んで説明させていただきました。お客様と距離が近く保てる厨房環境は気に入っています。会話も参考にしながら、お客様がどういうパンを好まれるかを日々探って、地域に愛される店にしていきたいと思っています」(下山さん)
 さらに、パンの補充時にも、客と会話できるような仕掛けが、売り場にはある。陳列台の奥にスタッフが動けるスペースを確保したことだ。それによって、客とスタッフの動線を別にできるので、スタッフは客の顔を見ながらパンの補充をすることができる。
 「動線が同じだと、ぶつかってしまうのを恐れて、速く動こうとしたりして、会話も十分にできません。でも、お客様と向かい合うような動線を取れると、お客様の顔を見ながら、焦らずゆったりした気持ちでパンを補充できます。落ち着いた気持ちを持てるので、会話もしやすいですね」(下山さん)

SHOP DATA
店名:石窯パン工房コムギノホシ
住所:〒177−0032 東京都練馬区谷原5−10−16
電話:03‐6913‐2066
営業時間:午前8時〜午後8時
定休日:火曜
品揃え:100品目
スタッフ:製造7〜8人、販売4〜6人、調理5人
店舗面積:厨房26坪、売り場13坪
日商:平日40万円、土日祝日60万円


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暑中お見舞い申し上げます。


多くの人が文章を読んで深く考えることをしない今の時代に、文章を読んで考えれば、それだけでライバルに差をつけることができます。ブランスリーは、読んで考えるパンの専門誌です。