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特集/2016年1月号

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売上を倍増させる焼きたての演出

焼きたての魅力は演出で倍増。声かけやポップで顧客と接点を - トーホーベーカリー
焼きたてや揚げたてのパンが所狭しと並んで目を引く売場。店内は活気にあふれている
「焼きたて!」の赤いポップが設置された「GOLD塩バターロール」
「揚げたて!」のオレンジ色のポップが設置された「カレーパン」
サンドイッチ類が並ぶ売場。「作りたて!」の緑色のポップが設置されている
揚げたてのカレーパン「カレーパン」(税込172円)を売場へ運ぶスタッフ
焼きあがったばかりの商品を売場へ補充しているスタッフ
声かけ重視で焼きたてをアピール

 東京・三鷹市の吉祥寺通り沿いにある地域密着ベーカリー「トーホーベーカリー」では、商品の焼きたて感を伝えるための最も重要な施策として、スタッフが焼き上がったパンを売場へ運ぶ際の来店客への声かけを最重要視している。
 「商品をアピールする絶好で最大のチャンスですからね。商品が最高においしい時に食べてもらいたいという気持ちを伝えることで、当店のスタッフにはまさに最高の売り子、または営業マンになってもらうようにしています」と店長の松井成和さんは強い思いを語る。
 声かけは主に「何々パン焼きあがりました。いかがでしょうか」と「何々パン焼きたてです。いかがでしょうか」といったもので、なるべく来店客の目の前で大きくアナウンスするようにしている。そして、アナウンスにあたっては、実は、この「焼きあがりました」と「焼きたてです」の使い分けに注意するようにしているという。
 本当にたった今、焼きあがったばかりの商品は「何々パン焼きあがりました」とアナウンスするが、これはその商品に対して1回しか言えない。ただその後も「たった今」でなくても焼きあがって30分以内の商品であれば「何々パン焼きたてです」と何度も言うことができる。
 午前中の比較的焼きたてが次々とあがる時は「何々パン焼きあがりました」のアナウンスを中心に接客を進めていくが、午後の落ち着いた時には、焼成の回数も減るため「何々パン焼きあがりました」だけではどうしてもアナウンスの回数が減ってしまう。
 そこで店内の活気を取り戻すため、「何々パン焼きたてです。いかがでしょうか」と力強くアナウンスさせるのだという。
 「その時間帯ですと、同じ『焼きたて』でも改めて元気よくアナウンスすることでだいぶ印象が変わってきますね」(松井さん)
 こうしたことは来店客への効果だけではなく従業員の士気を夕方の閉店まで保ち続けるためにも効果があるのだそうだ。
 「口がヒマになってしまうと、どうしても活力も落ちますし、お客様との交流の機会も失われてしまいますよね。『何々パン焼きたてです。いかがでしょうか』と何度も声かけをすることは、自信を持って作った商品に対して少しでも興味を持ってもらいたいという気持ちを伝えるための最大の手段だと思います」(松井さん)

ポップの色分けで興味を引きつける

 こうした声かけのほか、同店では、商品の「焼きたて」「揚げたて」「作りたて」を伝えるために色分けしたポップを売場に設置するといったことも行っている。
 「焼きたて!」と書かれた赤色のポップ、「揚げたて!」と書かれたオレンジ色のポップのほか、サンドイッチなどでハンドメイドしたばかりの商品に添える「作りたて!」と書かれた緑色のポップの合計3種類がある。
 これらは同店が2004年の1月に店舗をリニューアルオープンした際に売場を華やかに演出するための改革の一環として行った。それまでは、ポップは全て赤で統一していた。「色はそれぞれのイメージカラーですね。色分けしたことでよりお客様の興味を引きつけられるようになるのではと思いました」(松井さん)。焼きたてはオーブンの熱いイメージ、揚げたてはフライヤーのイメージを華やかな色にしたもの、作りたてはサンドィッチのレタスがまだ新鮮なことを表すため緑にした。
 また、止むを得ず品切れを起こしてしまった商品は「ただいま工場で作っています。あと何分で出来上がります」というポップを空になったトレーやかごに置くといったことも行っている。売場からこのような形で情報発信することで常に「焼きたて」を出すことを念頭に置いていることが伝わってくる。
 「お客様から求められていることを察知し応えていくためには、ポップでも声かけでも何らかのコミュニケーションの接点を持つことが大切ですね」(松井さん)。

品切れを起こしてしまった商品は「只今、工場で作っています」というポップを置く
「きなこ揚げパン5分でできます。お声がけください」と書かれたポップ
焼きたてや揚げたてのパンが並んで目を引く売場
店長の松井成和さん
東京・三鷹市にある地域密着ベーカリー「トーホーベーカリー」
声かけによる実況中継で製造とも連携

 こうした焼きたて、揚げたて、作りたて商品を出すために、同店では皆でその都度状況を確認し合い意識を統一することで連携を高めているという。
 主力商品は特に優先して「焼きたて、揚げたて」を出すようにしているが、一番人気の「GOLD塩バターロール」(税込110円)に次ぐ人気商品の「カレーパン」(税込172円)に関しては、常にタイミング良く揚げたてを出すため販売員から製造への声かけを行っている。声かけは、売場に残る商品の個数を伝える「カレーパンあと3個です」などといったものだ。
 「製造の人間はなかなか店内の様子を見ることができないので、売場での販売の担当者の声を聞いて、製造の段取りを考え作業を進めていきます」(松井さん)
 また製造からも状況を伝えるため4段階の声かけを行う。カレーパンをフライヤーに入れた時に「あと6分で当店自慢のカレーパンが揚がります。いかがでしょうか」、ひっくり返した時に「あと3分で::」、まもなく揚げ上がりそうな時に「まもなく::」、そして揚げ上がったら「ただいま当店自慢のかれ揚がりました。いかがでしょうか」と声をかける。
 「声かけによる実況中継ですね」(松井さん)
 「カレーパン」や「GOLD塩バターロール」のような主力商品は、売場に商品があっても、新しく焼きあがった商品が欲しいという人もいるので、こうした声かけが効果的なのだという。
 また、サンドイッチに関しては、なるべく焼きたてのパンに揚げたての具を入れて「作りたて」の商品として出せるよう、サンドイッチ部門とフライヤー部門が連携してタイミングを合わせている。
 普段は売場の様子を見ることができないフライヤーの担当者も、揚げあがったカレーパンなどを売場へ運ぶ時には、その様子を見ることができるので、その際に他の揚げものやサンドイッチの様子をみて不足分を把握する。フライヤーの担当は新人に任せることが多いが、こうした事を通じて作業の優先順位を考える頭と目を養ってもらうのだという。

さらに焼きたて感を伝えていくために

 同店では焼成を主力商品の何品かを中心に夕方近くまで繰り返している。窯に入れて3〜5分で焼成できる「明太フランス」(税込302円)は最も遅く夕方の6時半位まで焼成を行うこともある。
 「初めて来店されるお客様が夕方に来ても焼きたてを買えるようにすることでインパクトを与え、次の来店へ後押ししていきます」(松井さん)
 同店の1日の来店客数は平日で平均600人前後、土曜日など多い時では1000人近くにも上ることもある。豊富な商品群をなるべく焼きたての状態で提供していることは、繁盛の大きな要因になっているだろう。
 また今後さらに焼きたての価値を伝えていくために、売場に小さなディスプレイを設置して、製造の場面を撮った映像を流す事や、窯から出したばかりのパンをカットする前に一時的に置いている陳列棚の前に「ここにあるのは焼きたてのパンです」と書いた紙を貼ることなどを考えているという。

トーホーベーカリー
住所:〒181-0013東京都三鷹市下連雀1−9−19
電話:0422‐43‐6311
営業時間:午前7時〜午後7時
定休日:日曜、第3月曜、祝日
品揃え:約100品目
スタッフ:平日は製造10人、販売7人、土曜は製造13人・販売8人
店舗面積:売場14坪、厨房16坪
日商:80万円

売上を倍増させる焼きたての演出

焼きたてを打ち出すための品目設定と設備増設を考える - ペッパーズパントリー
「自慢のトンカツサンド」(税込500円)など、サンドイッチは常時40種類。カツも揚げたてを重視している
カレーパンは焼きカレーパンもあり、4種類揃う
JR木更津駅から徒歩10分ほどの距離にある「ペッパーズパントリー」
オーナーシェフの松井修さん
陳列棚は、弧を描くように設置されており、ぐるりと見渡しやすい
焼きたては、調理パンを重視

 千葉県木更津市の「ペッパーズパントリー」は、来年開業20年を迎える繁盛ベーカリーだ。
 クリスマスを控えた取材日、入り口では180センチほどのサンタクロースの人形が客を出迎えていた。そして店内で出迎えるのは、一日に約160種類も並ぶという、バラエティー豊富に揃うパン。陳列棚は、弧を描くように設置されており、ぐるりと見渡しやすい。
 ランチのピークを少し過ぎた頃、店内に入ると、「焼きたてです」という言葉とともに、目玉焼きやベーコンなどがのった調理パン「とろりん卵」(税込210円)が並んだ。
 目玉焼きが艶々しい見た目で、食欲をそそる。その他の焼き込み調理パンも、温かそうな商品が豊富に揃っていた。
 「菓子パンや食パンは、焼きたてよりもむしろ、熱が取れて落ち着いた頃の方がおいしいものが多いと思います。ですが調理パンは、やっぱり焼きたてで温かい状態のときが、一番おいしいですからね。朝すべて作って置いておいたら売れません。ちょっと焼いて、なくなったらまた焼いて、という風に、焼きたてにこだわって提供していきます」(オーナーシェフの松井修さん)
 このように、松井さんが焼きたてを特に重視して提供しているアイテムは、まずは調理パン。さらに、カレーパンや、肉や野菜をのせて焼き上げた焼き込み調理パン、「自慢のトンカツサンド」(税込500円)などのサンドイッチの具として使うカツなどもそうだ。
 「サンドに使うカツやコロッケも揚げ物ですから、揚げたてのカレーパンがおいしいのと同じです。カレーパン担当のスタッフが、カツなども担当して適宜揚げるようにしています」(松井さん)

原価はかけても手間はかけない商品

 焼きたてで提供することで、最近特に売上げが伸びているのが、長さ20センチほどもあるボリューム満点の焼き込み調理パン。トングで掴んでみても、ずっしりとして重量感がある。「きのこの森」(税込260円)、「オニオンベーコンチーズ」(税込260円)、「たらことぽてと」(税込260円)など、昼時は5〜7種類揃う。
 これらの製品は、具が、隅から隅まで厚くたっぷりのっているのが特長だ。型に入れて焼成するので、具を隅までのせても、生地の外に流れ出てしまうことがないという。そして、とろけたチーズがのっているのも特長だ。
 「とろけたチーズの艶は、焼きたてなのを見た目で強調してくれますね。生地は、すべて同じ食パン生地を使用していて、具だけ変えて種類を揃えています。具材はいいものをのせて、原価はかけても、作る手間はかけない、そういう商品作りが、焼きたてで、ある程度の数を出していくためには重要ですね」(松井さん)
 また、260円という価格は、ボリュームを考えれば割安に思えるが、同店では高価格帯の位置付けとなっている。
 「焼き込み調理パンは、温かいうちがおいしいのですから、多くの方がご自分のランチ用に、すぐに召し上がるつもりで購入されます。『自分のものだけなら、値段を気にせず食べたいものを選ぼう』という考えを持っている方が多いと思うんです」(松井さん)
 温かくて今すぐにでも食べたいと思える調理パンは自分用に、家族などへの土産用には、冷めていてもおいしさが変わらない菓子パンなどが好まれる傾向にあるようだ。

マヨネーズの艶が食欲をそそる「とろりん卵」(税込210円)。
窯の増設を機に売上げが3割伸びた焼き込み調理パン。「きのこの森」(税込260円)など
窯の増設で再びメニューに加えた焼きカレーパン「焼きカレーとあらびきソーセージ」(税込200円)
午後2時過ぎ、「自慢のつぶあん」(税込150円)など、主に菓子パンは袋詰めされていた
焼き込み調理パン専用の焼成室を確保

 松井さんは、「きのこの森」などの焼き込み調理パンの売り上げを確実に伸ばすためには、厨房設備を整えることが必須だったと言う。
 「窯は2台あって、片方はピザ専用窯だったのですが、焼成量を増やすために、それをガス式の3段窯に替えました。3段のうち1段は、焼き込み調理パン専用にしたんです。こうすることで、ベストなタイミングで、十分な量を出していくことが可能になりました。増設するか否か見極めるまでが、苦労しましたね」(松井さん)
 窯の増設で、『きのこの森』など焼き込み調理パン5〜7アイテムの売り上げは、約3割伸びた。もとの倍までは伸びる余力はあるという。
 開業した初期の頃、菓子パン系の方が強く、調理パンは弱い方だった。
 「パートの主婦の方の意見は貴重です。話を聞いていると、おかずを作る手間がかからないという点で、調理パンが求められていることが分かりました。そのようなこともあって、これまでの間、調理パンの強い店にしていきたいという意識を持ってやってきました」(松井さん)
 調理パンは現在、三角サンドなど冷蔵のサンドイッチは約15種類、カツサンドやフォカッチャサンドなど常温のものは約35種類、そのほかに焼き込み調理パンや、カレーパンがあり、かなり充実している。カレーパンも、今回の窯の増設によりさらに、揚げずに焼いた「焼きカレーとあらびきソーセージ」(税込200円)が、新メニューとして加わった。
 「焼きカレーパンは、過去にも販売したことがありましたが、今の方が明らかに売れています。今回窯を増設したことで、焼きたてによりこだわって提供できるようになったからだと思います」(松井さん)
 こうして、焼きたてで提供することに益々努力を重ねている同店だが、「焼きたて」と書かれた札の付いた商品が一つも見当たらない。
 「昔は、焼きたての商品が並ぶと、その商品のプライスカードの横に札を付けていましたが、数年前にやめました。付けてから、どのくらい時間が経ってから外せばいいのかはっきりしないところもありますしね。今思えば、焼きたてで出せる商品が少なかった頃、札を活用していたような気がします」(松井さん)
 同店に行けば、焼きたてのおいしいパンが食べられるということが、常連客にとって当たり前のこととして根付いてきているようだ。

ペッパーズパントリー
住所:〒292‐0057 千葉県木更津市東中央3‐6‐3
電話:0438‐23‐0061
営業時間:午前7時半〜午後8時半
定休日:水曜
品揃え:160品目
スタッフ:製造8人、販売10〜12人(常時3〜4人)
店舗面積:売り場15坪 厨房17坪
日商:40〜50万円


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ドゥコンディショナー特設会場
ホイロ特設会場
ベーカリーオーブン特設会場
パンオーブン特設会場


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