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お店拝見/2019年2月号

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女性らしさが活きるパンづくり - ジュウニブン ベーカリー
紙に包まれて並ぶ一番人気商品「風船パン」(税込324円)
「風船パン」の断面(上の写真)
経営者の杉窪章匡さん
京王百貨店新宿店、中地階食品フロア内にある「ジュウニブン ベーカリー」。厨房は売りとは別の階にある
ヒット商品は、狙って開発し、外さない

 薄紙に包まれた、まるで紙風船のような見た目で店頭に並ぶ「風船パン」(税込324円)が、断トツの一番人気だというベーカリーが、東京の京王百貨店新宿店、中地階食品フロア内にある。
 渋谷区のベーカリー「365日」やカフェ「15℃(ジュウゴド)」などを経営し、プロデューサーやコンサルタントとしても活躍している杉窪章匡さんが、昨年春にオープンさせた「ジュウニブンベーカリー」だ。
 「店名の『ジュウニブン』には、十分の10より多い12ということで、一周回ってその先を見たり、再発見していくという意味を込めているのですが、パン生地の水分量を120%にしているという意味でこの『風船パン』も店名と繋がっています」(杉窪さん)
 シールをはがし、薄紙をはがすと現れる「風船パン」の見た目は、ハンバーガーのバンズのようだ。
 「多加水の生地だと、作れる形は単純なものに限定されます。そのままで売れるかどうかを検討していたとき、たまたま目にしたのが、この包み紙でした。本来はハンバーガー用のようですが」(杉窪さん)
 バンズのような見た目と違い、手に取ると、多加水のため、ずっしりと重い。クラムは、しっとりもちもちの食感で、大きな気泡がいくつかある。有塩バターのかたまりを、ところどころに散りばめて成形しているためだ。
 「120%の加水率で、圧倒的なもちもち感です。断トツで一番の人気商品にすることができました」(杉窪さん)
 同商品が一番人気となっているこの現状は、杉窪さんの計画通りだった。包み紙を用い、ほかの商品より一際目立たつようにしたのも、そのためだ。
 続く二番人気商品は「風船パン」と同じ生地を使って焼き上げる「ジュウニブン食パン」(税込486円)で、同商品が二番目にランクインしたのも、計画通りのことだった。
 杉窪さんはいつも、ヒット商品は最初から狙って開発していくという。同店だけでなく、これまで手掛けてきた店のヒット商品も、こうして生み出してきた。
 「ヒット商品を外さないことには自信があります。そのために、常にリサーチしていて、日本だけでなく世界中を見て、おいしいものを探します。実際に食べて経験していくことを大事にしています」(杉窪さん)

「風船パン」の次に人気の「ジュウニブン食パン」(棚の上の段、税込486円)と、スタンダートな位置付けで加水率80%の「ハチブン食パン」(棚の下の段、税込497円)
右は「ジュウニブン食パン」の断面、左は「ハチブン食パン」の断面
アンティーク風のショーケースにパンが並ぶ
内装とあえて異なる雰囲気のデザインにした買い物袋
女性らしく働き続けられる環境づくり

 同店のパンを、杉窪さんは「女性的なパン」と表現する。
 「パンに抱くイメージを、男性的か女性的かと表現した場合、多くのブーランジェリーのパンは、男性的なパンになると思っています。超合金のような、頑丈で強いイメージです。対して当店は、女性的なパンを目指しています。やわらかさや優しさを感じられるようなイメージのパンです」(杉窪さん)
 そんな「女性的なパン」づくりを進める同店のスタッフは、製造も販売も全員女性だ。求人で女性に限った訳ではなかったが、結果的に好都合な状況となった。
 全員が女性だから、扱う商品のパンにも、女性らしさが表れてくるかというと、そう単純なことではないという。
 「女性が次第に男性化していくというのは、ベーカリーの職場でよくあることです。ですので、女性にとって過酷に感じる労働環境にしてはいけないと思っています。いつまでも女性らしく働き続けてもらえる環境づくりをしていくことが大切だと思っています。商品開発も、お客様が求めるものを作っていくという点で、女性らしさが重要になってきます。家で家族に喜んでもらえるように、毎日おいしい料理を振る舞う母親の、その母性のような感覚を持っているのが、女性特有のことだと思うからです。相手が喜んでくれるものを、相手の目線に立って作っていくというのが、得意だと思います」(杉窪さん)
 女性が働きやすい環境にするため、同店の厨房設備は、女性が扱いやすい機材を導入している。
 「オーブンはコンベクションオーブンを使用しています。さらに、作業音が大きいのも辛いと思うので、できるだけ静かに動くものを選んでいます」(杉窪さん)
 細かいところまで、配慮がなされているのには、常に問題解決の姿勢を持っていることに起因する。
 「以前は月一だったのですが、今は週一で会議をしています。会議の回数の分だけ、問題点が見えてくると思っています。問題解決を主導するスタッフは、現場での作業が終わったらそのまま帰るのではなく、気付いた問題点を記録するために必ずパソコンの前に座ります」(杉窪さん)
 こうした日々の積み重ねで、働きやすい環境づくりを実現しているのだ。

「ゴルゴンゾーラと自家製ベーコンのプチカンパーニュ」(税込303円)などの総菜パンのベーコンやソーセージなどは自家製
「ジュウニブンあんぱん」(税込249円)など、定番の菓子パンは馴染みのある見た目だが、味はオリジナル性が高い
「ミルクフランス」(税込260円)など、クリームやあんをサンドした菓子パンも人気。パンはフランスパンを使用
新宿らしさを大事にする

 売り場の内装は、ヴィクトリア朝の草花などの自然をモチーフにした壁紙と、アンティーク風のショーケースや小物などが置かれ、歴史ある雰囲気を醸し出している。
 「内装は、僕が思う新宿のイメージで、買い物袋のデザインとは、あえて統一しないようにしました。その統一感のない、色々なものが混在した感じが、さらに新宿らしいと思うからです」(杉窪さん)
 内装や買い物袋のデザインを決めるに当たっては、言葉でなく楽曲でデザイナーに伝えたという。
 「言葉で具体的に色や形などを伝えても、実際にその通りに出来上がったときには、思っていたものと違うものになっていることが多々あります。そこで、自分が思っているイメージに合った楽曲を聴いてもらって、そこからデザインを起こしてもらおうとしたんです」(杉窪さん)
 新宿らしさを店舗に表現するために、デザイナーへのイメージの伝え方から考えるほど、こだわったのには、理由がある。
 「ベーカリーは、街の起点になる存在だと思っています。いいパン屋ができると、そのパン屋から街が広がっていくという例を、これまでにたくさん見てきました。ですので、新宿らしさを出していくというのを、大事にしています」(杉窪さん)

SHOP DATA
店名:ジュウニブン ベーカリー
住所:〒160−8321 東京都新宿区西新宿1−1−4
電話:03‐3342‐2111
営業時間:午前10時〜午後8時30分(日曜、祝日は午後8時まで)
定休日:京王百貨店新宿店に準ずる
品揃え:約60品目
スタッフ:製造常時6人、販売常時3人
店舗面積:厨房12・3坪、売り場5・4坪
日商:平日約33万円、土日祝日約40万円

この記事の読みどころ

●多加水のパンを、その包装形態とネーミングで、圧倒的な一番人気商品にのし上げる。
●圧倒的な一番人気商品に関連付けて、ベーカリーの一般的定番商品をプロデュースする。
●女性が母性を発揮できるような、職場環境を整えるための様々な努力を惜しまない。

※あくまで編集部からの提案です。このほかにも様々な読みどころがあると思いますので、読者の皆様の視点で、エッセンスを抽出してください。


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