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お店拝見/2011年5月号
パリのベーカリーを意識したパン作り‐レサンクサンス
店舗の側面は、黒を基調としたシックなデザインになっていて、「パリのブーランジェリー」のような雰囲気だ
店舗の正面の壁面は、鮮やかなブルーを使い、強烈な存在感をアピールする
一番人気の「クロワッサン」には、内麦の特徴が生かされている
 世田谷区の三軒茶屋といえば、自由が丘や吉祥寺と同様にオシャレな町のひとつ。「オシャレ」ゆえか人気のあるベーカリーも数多い。競合店がひしめくこの地にフランスパンとヴィエノワズリーで消費者の嗜好を捉えようとするベーカリーがある。2009年11月にオープンしたレサンクサンスがそれだ。「レサンクサンス」はフランス語で「五感」を意味する。
 同店は、東急田園都市線・三軒茶屋駅の世田谷道り口を出て、世田谷通りを、富士山も眺望できるという展望フロアを持つにんじん色の26階建て複合ビルの「キャロットタワー」を右手に見て、歩くこと約8分の場所にある。パリのブーランジェリーを意識した外観は、フランス国旗のブルーを基調とした正面が、明るい街によく映える。
 側面の黒塗りの窓は落ち着いた雰囲気を醸し出す。パン好きのお客の気持ちをつかむには十分な演出だ。
 店舗は、厨房が10坪、売り場が6坪の小さなベーカリーだが、売り場にはほぼ毎日60種類のパンが並ぶ。
 正面のドアを開けると右側の棚で、人気の食事パン達がお客を迎える。全粒粉の入った「パンドミ」(300円)、固定客がついている「パンロデヴ」(2・1キロ2900円、1グラム1・7円で量り売りも)、食事パンの中では一番人気の「パンアンティーク」(420円)、全粒粉が40%入ったミネラル豊富な「デミコンプレ」(280円)、コンプレにナッツとレーズンを加えた「コンプレノアレザン」(660円、ハーフ330円)などだ。左側には、お客のお腹を満たそうと、6種類のサンドイッチ(400円台)や、焼き菓子が待ち受ける。正面にはバゲット各種や「クロワッサン」(200円)。それに、クロワッサン生地をベースにしたデニッシュ類やフランスパン生地の調理パンなどが顔を揃える。

独特の旨みを持った商品群
ハード系のパンが普通に売れていく
 レサンクサンスでの1番の人気商品は「クロワッサン」。発酵バターを使用した豊かな風味が特徴だ。サクッとした外皮ともっちり感の歯ざわりが良い生地には、国産小麦の持つ特色が十分に生かされているようだ。
 2・1キロと大きな「パンロデヴ」は、石臼で挽いた国産小麦をフランスの伝統的製法で焼き上げたものだ。噛み締めると素朴な味が口に広がる。
 「パンアンティーク」(600グラム)は、小麦粉を最初にローストして香りを出したものと普段の小麦粉をミックスして生地を作る。こうすることで、小麦粉本来の香りが感じられる。トーストすると外皮がよりサクッとする。
 もちもち感のあるクラムと一緒に噛み締めると甘味と酸味が口の中で微妙に溶け合う。パン好きにはたまらない。
 バゲット類の中の「バゲット・トラディション」(300円)は、引きがあって噛みごたえも十分だ。
 噛み続けると口の中に小麦粉のおいしさが伝わってくる。

フランス伝統製法で良好な結果生む
2・1キロの「パン ロデヴ」
1グラム1・7円で量り売りもする
食事パンの中で一番人気の「パンアンティーク」は小麦粉をローストしてから生地を作る
口の中に小麦粉のおいしさが広がる「バゲット・トラディション」
 レサンクサンスを運営するのは、他にベーカリー4店舗などを経営し、社員27人をかかえるリトルハピネス(本社=東京・世田谷区、箕輪喜彦社長)。
 同社では、5年前に入社したフランス人製パン技術者のデリアン・エマヌエル氏(43歳)を得たことで、それまでの大手ベーカリーのフランチャイジーをやめ、本格的なフランスパン作りを目指すことに転換した。エマヌエル氏がフランスで10年間、ポワラーヌで修業した実績も大きかった。
 レサンクサンスのパン作りのコンセプトは「安心・安全」。それを担うのが北海道産小麦とフランスの伝統製法を支えるルヴァン種だ。ルヴァン種を使用することで吸水が80%とよくなり、生地が柔らかで、もちもち感のあるフランスパンが出来上がる。エマヌエル氏が他店との差別化を考えた結果だ。そして、パンを焼き上げるのは溶岩の石窯。
 遠赤外線の出る石窯は、フランスパン作りに向いているという。例えば、食パンならば、通常より5分は早く焼き上がる。これが、国産小麦粉の持っているもちもち感を、一層際立たせているようだ。
 こうした姿勢が功を奏したのか、一カ月の売り上げは現在400〜500万円。客単価は、800〜1000円という。朝5時から仕込みを始め、8時の開店に間に合わせる。朝は人気のクロワッサンに加え、6種類のサンドイッチがよく売れる。昼はハード系のパンを求める女性客が多数訪れる。同店では対面販売を行っている。ハード系の食事パンの食べ方を知ってもらうための方法だ。同時に、お客と店員とのコミュニケーションも図れるので、双方に信頼関係が生まれるというメリットもある。それでも「ハード系パンの食べ方への提案はまだ十分だとは言えない」(箕輪氏)ため、今後はリーフレットを作成するなど、伝え方を考えていくという。「利益の上がる店作りには必要なことです」(同氏)。

お客が来店したくなる仕組み作り
箕輪社長(右)と、4月から店の中心になるファビアン氏
 利益の上がる店作りがすでにできている同店に、今後必要なものの一つとして、通信販売がある。
 食品通販大手のオイシックスを通して、多い日には1日に40セットの注文が入る。1セットには2000〜3000円分のパンを詰めて販売しているが、今の体制では40セットが限界だという。通販の売り上げも着実に伸ばしているのだ。
 もう一つの柱が焼き菓子。昨年10月にベリキア・ファビアン氏(32歳)が入社した。同氏はメゾンカイザーで3年間修業した製パン経験11年のフランス人技術者。
 4月中旬から設備を整えた上で、同氏を中心にこれまで以上に焼き菓子を強化していく方針だ。
 箕輪氏には一つの理想がある。パリでは同じお客が何回も同じ店に商品を求めに来る。朝昼晩と必要に応じて来店するという。これならば、商圏が狭くても利益が出やすい。
 「同じお客様が、何度でも買いに来てくださる仕組みを作り上げたいですね」

SHOP DATA

店名レサンクサンス
住所東京都世田谷区若林1−7−1プチピエール三軒茶屋1階
電話03−6450−7935
営業時間午前8時〜午後9時
定休日無し(1月1日〜3日は休み)
品揃え60品目
店舗面積販売6坪、厨房10坪
スタッフ製造4人(社員)、販売2人(パート)


多くの人が文章を読んで深く考えることをしない今の時代に、文章を読んで考えれば、それだけでライバルに差をつけることができます。ブランスリーは、読んで考えるパンの専門誌です。