綿のような内相と薄い皮が特徴の「フアシー食パン」。「２〜３日経った方がおいしくなります」と猪又さんはいう
オーナーの猪又芳明さん
「フアシー食パン」は、猪又さんが好きな夭折のジャズトランペッター、クリフォード・ブラウンが演奏する姿を印刷した袋に入れて販売している
東京・練馬区江古田にフアシー製法と呼ばれる方法で食パンを作るベーカリーがある。店名は「ブラウニー」。
オーナーの猪又芳明さんが３０年以上前、まだ駆け出しの修業時代に教わった方法だという。
綿のような内相で、ミミが薄く、ソフトさと弾力性を兼ね備えた食感が特徴だ。粉は強力粉を１００％配合。油脂６％、砂糖６％、卵を６％配合する。イーストは生を１・８％と少なめだ。
生地は柔らかめで、しっかりとミキシングし、グルテンが出てベストな状態を見極めることがポイントだという。「生地を上げるベストなタイミングは、ほんの一瞬です」と猪又さんは説明してくれた。
一次発酵は２時間１０分ぐらいで、途中、パンチを１回入れるという。ベンチタイムは３０分ぐらい。モルダーは通さず、手で成形して食型に入れる。
時間がたっても品質が劣化しにくいのも特徴。
「香り、色づき、コシの強さが特徴です。２〜３日経ってからの方がおいしくなります。トーストした時の歯ごたえはフアシー製法ならではです」と猪又さんはいう。
「フアシー食パン」は１斤２００円で、毎週火曜日午後３時からの限定販売だ。
「要所、要所を的確に確実に処理しなければ、決して良い食パンはできません。パン屋の生地は、ズバリその店の食パンに出ます。食パンは、パン屋の顔だと思います」
猪又さんは、もともとは、電気部品製造の会社で、営業を担当していた。
しかし、製品の納入先と、工場との間に立って苦労し、「自分には他にやることがある」と、脱サラしてベーカリーを開くことを決心した。
数軒のベーカリーで修業を積み、１９８４年に独立した。そして１９９８年に現在の場所に移転。
店名のブラウニーは、１９５６年に、２５歳で交通事故で死亡したジャズトランペッター、クリフォード・ブラウンのニックネームからつけた。
▽ブラウニー 東京都練馬区旭丘１‐２９‐４、電話 ０３-３９５４-４１７８
