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お店拝見／2007年12月号

2023年11月18日から、発行から１年を経過した記事は、会員の方以外にも全文が公開される仕様になりました。

リニューアルで店の雰囲気を一新 - パンドナノシュ
入り口のレジのすぐ後ろが窯で、窯出し後の仕上げも客の間近で行われる住所：神奈川県茅ヶ崎市共恵1-3-14ライオンズプラザ茅ヶ崎駅前101 電話：0467-86-8757 営業時間：平日午前８時～午後７時　　土日祭午前７時～午後６時定休日：無休

小麦粉をすべて内麦に切り替えた

窯の前にスタッフが勢揃い（前列中央がオーナーの関谷さん）

外観も、白を基調としたデザインだ

売り場は縦長の形だが、幅が広くスムーズにパンが選べるようになっている

　今年１０月１３日にリニューアルオープンしたパンドナノシュ。場所は前の店舗から徒歩１分の場所。
　「前の店がかなり手狭になってきたのが移転の主な理由です」とオーナーの関谷勝美さんはいう。
　リニューアルに当たって、思い切って大きく変えたことが２つある。
　まず、使用する小麦粉をすべて、北海道産のものに切り替えた。北海道の製粉会社と綿密に打ち合わせをし、テストをくり返し、安定的に供給してもらえることと、パンの品質に問題がないことを確認した上で、思い切って切り替えたという。
　「今は、内麦でも、とても美味しいパンができます。むしろ内麦のパンの方が美味しいとも思えます。お客様の立場に立つとやはり、作り手の顔が見える国内産の小麦の方がいいと考えました。また、日本でパンを作るなら日本の粉を使った方がいいと考えました」と関谷さんはいう。
　２つ目に大きく変わったことは、店のデザインを一新したことだ。前の店舗は、木の温かさを基調にしたデザインだったが、新店舗では、白を基調にしたデザインに変えた。店内は、床も壁面も白いタイルばりで統一し、陳列棚の枠や店のロゴマークなどの要所に、濃いブラウンやグレーなどを使い、アクセントをきかせた。「田舎の温かなイメージ」から「都会の洗練されたイメージ」に店の雰囲気が一変した。
　売り場は、縦長の形で、売り場と並行して厨房も縦長に配置されている。売り場の幅は３人が通れるぐらいゆったりととってあって、入り口のところに設置されたレジは、入ってくる客の動きを邪魔しないように考えられている。
　「床と壁と天井を白で統一したら、パンがとても美しく見えるようになりました」と関谷さんは話す。
　販売方法は基本的にセルフだが、縦に長く設置された陳列台と厨房との間の通路に、販売員を複数配置することで、パンを選ぶ客に商品の説明などを積極的に行っている。
　「パンを自由にじっくりと選べるセルフ方式のよさと、お客様とのコミュニケーションがとりやすい対面販売のよさの両方をとり入れたかったんです」（関谷さん）
　「焼き上がったパンを売り場に運ぶ際に、これまでは、お客様の間を通って行かなくてはならず、店内の混雑に拍車がかかってしまっていました。新しい店では、売り場に出ないで品出しができることが多くなり、混雑する時間帯でもお客様にスムーズに動いて頂けるようになりました」

週休２日制の実現を目指す

アーモンドなどを練り込んだ生地で、カマンベールチーズを包んで焼き上げた「コンプレフリュイ」

フランスパン生地で、豚の角煮と青とうがらし味噌を包んだ「青とうがらしみそフレンチ」形など）

３センチ角程度に大きくカットしたベーコンがいくつも入った「ガーリックベーコン」

濡れ甘納豆を生地に巻き込んだ「大納言ブレッド」

関谷さん（右）が自らレジに立つこともある

塩味がきいたキャラメルクリームをサンドした「塩キャラメルフランス」

白を基調にした店内では、パンが美しく映えて見える

　洗練された雰囲気の店内には様々なパンが陳列されていた。
　「コンプレフリュイ」（３６０円）は、アーモンド、ピスタチオ、蜜りんごなどを練り込んだ生地で、カマンベールチーズをたっぷりと包んで焼き上げた商品。表面にはオートミールをトッピングしている。
　「青とうがらしみそフレンチ」（１５０円）は、フランスパン生地で、豚の角煮と青とうがらし味噌を包み、馬蹄型に成形して焼き上げた商品。
　「ガーリックベーコン」（２４０円）は、３センチ角程度に大きくカットしたベーコンがいくつも入ったパンで、生地はフランスパン生地を使用。ガーリックバターやオニオンなどもいっしょに包んで焼き上げる。
　「大納言ブレッド」（ワンローフ４２０円）は同ベーカリーを代表する商品。ワンローフ型の食パンで、濡れ甘納豆が生地に巻き込んである。パンのさくっとした食感と、濡れ甘納豆、トッピングされたアーモンドスライスとの相性が絶妙だ。ほとんどが予約で完売してしまう同ベーカリーの看板商品。
　「塩キャラメルフランス」（１６０円）は、ソフトフランス生地のパンに、塩味がきいたキャラメルクリームをサンドしたシンプルな商品。
　関谷さんの現在の課題のひとつは、スタッフ全員が週に２日休みをとれるようにすることだ。現在は、リニューアルオープンしたばかりということもあり、実現していないが、来年早々から週休２日制を実現させるべく、準備を進めている。
　「１人が少なくても３つのポジションをこなせないと、週休２日は実現しません。現在、その実現に向けて、人を配置しています」と関谷さん。
　関谷さんのパン作りのモットーは「常に基本に忠実であること」だ。週休２日制の実現のためにこのことを曲げるつもりは毛頭ない。すべての商品について、基本どおりに丁寧に作ることを常に心がけているという。「例えば、窯の都合で、ホイロの温度を上げて、焼くタイミングを早めるといったことをするくらいなら、その商品は作らない方がいいと考えているんです」
　同ベーカリーは、売り場面積が約９坪で、厨房がおよそ１２坪。スタッフは製造が常時６～７人、販売が常時３～４人。平均日商はおよそ３５万円という。リニューアルと同時に３割程度の商品を入れ替えた。同時に、原材料費の高騰などから、一部商品の値上げを実施（２１ページに関連記事）。

１０歩先を行く

取材メモ　パンドナノシュは、売り場が縦長の形で、厨房も売り場と向かい合うようにして、縦長に配置されている。製造スタッフは、売り場の客と向かい合う形で作業をする。売り場からは厨房でパンを作っている様子が間近で見られる格好だ。厨房を客に対してオープンにするベーカリーが増えているが、同ベーカリーは、そのことを徹底している。トレンドをとり入れる時、ともすれば、恐る恐る半歩さがりがちになるが、１０歩先を行くことの重要さを教えられた。

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