売れるお店はここが違う - 店長が自分でする店舗診断(第3回) - ブランスリー電子版


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店長が自分でする店舗診断/2005年8月号

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売れるお店はここが違う - 店長が自分でする店舗診断(第3回)

著者プロフィール
角田誠(つのだまこと)
日本商業施設学会会員、商業施設士、商業施設活性化コンサルタント、一級建築士、(協)日本店装チェーン監事、(社)商業施設技術者・団体連合会関東甲信越支部副支部長
商業施設の企画、設計、施工などを多く手掛ける。ベーカリー百数十店の店づくりに携わる。「江東区魅力ある個店づくり」制度に派遣される。
株式会社第一店装代表取締役、武蔵工業大学卒業



第3章 店内診断(前編)

■売上をアップするレイアウト
 いよいよ今回から、店内診断を行います。まずは、店内のレイアウト(平面配置)です。レイアウトは、お客様の買いやすさ、お店の売上に直結する大切な要素ですので、ぜひ再チェックしてください。
 売り場のレイアウトを決定する上で目標にすることは次の二点です。
 ●全ての商品を必ず見ていただく
 ●1つでも多く商品を買っていただく
 お客様に店内の全てのパンを見ていただくためには、わかりやすい売り場にする必要があります。
 わかりやすさとは、まず見やすさです。お客様が入り口に立ったとき、全ての商品を見られるレイアウトが、良い売り場と言えます。
 奥のエリアまで見通せて、すべてのコーナーに目がとどくようなレイアウトが必要です。
 そして、パンをそれぞれのもっとも売れやすい場所に配置します。お客様に多くお買い上げいただくための「適材適所」です。
 そこで、商品を「季節(フェア)商品」「新商品」「主力商品」「ペストリー」「サンドイッチ」「食パン」「ドリンク、デリカ」に分けて、店内を区分けします。これをゾーニングといいます。
 このゾーニングの良否が客単価に大きく影響することになります。

■役割の違う4つのエリア
 またベーカリー店内には、役割の違う4つのエリアがあります。各エリアの役割と効果的なゾーニングを考えます。
 (1)店頭エリア
 セルフ販売方式のベーカリーでは、入り口を入ったお客様にまず、トングとトレーを持っていただかなければなりません。お客様のなかには、トングとトレーを持たずに店頭付近で商品を目で追っている方がいます。
 トングトレー台は、わかりやすく取りやすい位置に、お店に入ったお客様の方
に向けて配置します。
 店頭エリアは、もっとも興味深く魅力のある商品を展示します。このエリアの魅力で、お客様の購買欲は決定付けられます。そして、店内を歩き出していただくのです。
 季節(フェア)商品や新商品を平台やテーブルで平陳列します。このゾーンは、比較的何を並べても買っていただきやすい場所になります。空きスペースをつくらないように、特に注意します。
 自店の主力商品(他店に負けない商品)
をこのゾーンに配置します。主力商品の
展示は店外にもアピールできるように、フロントガラス側に展示するのがベストです。
 売上を伸ばすには、今売れているものを、もっとたくさん売ることを目指します。売れにくい商品を売れるように努力するより、簡単で確実です。
 (2)品揃えエリア
 店頭ゾーンでは、ボリューム感の演出やお客様の取りやすさを考えて平陳列などでアイテム数が限られます。そこでこの品揃えゾーンで、お客様に品揃えの多さをアピールします。ゆっくり商品の選択を楽しんでいただきながら、このエリアで売上を確保します。
 ペストリーなどの比較検討するアイテムは、この品揃えゾーンに展示します。ここでは、比較検討のしやすさがポイントになります。関連のある商品を並べて陳列します。
 ペストリーの配置は他のゾーンで分断しないことが重要です。アイテムの豊富感、ボリューム感を演出し、ひとつの流れのなかでのゾーニングをします。お客様にも、その連続性の中で比較検討を楽しんでいただきます。
 (3)目的買いエリア
 お客様が来店されるとき、あらかじめペストリーのうちどれとどれを何個買おうと決めている方は多くないでしょう。しかし、食パンやバラエティブレッドなどの食事パンは、明日の朝食のためであるなど目的がはっきりしていることが多いものです。
 このように目的がはっきりしている買い
物は、お店の奥の目的買いエリアにあっても、お客様に手にしていただくことができます。
 食パンなどのブレッド類をお店の奥に配置することは、他にも次のようなメリットがあります。
 ●大きいパンがお店の奥に並ぶことでボリューム感がでる。
 ●ブレッドのように正面から見る方が商品の顔がある商品は奥壁面に縦方向に多段に並べることが有効。(ペストリーは上から見る方が顔がわかる)
 ●お客様の持つトレーを、最初に大きなパンを乗せることで狭くしない。
 ●スライス、包装などの作業が伴う食パンのゾーンは、レジや厨房出入り口に近い場所が良い。
 (4)接客エリア
 最後に、レジカウンターまわりの接客エリアです。レジの位置を検討する上で大事なポイントは次の通りです。
 ●レジのスタッフからお店全体を見渡すことができる。
 ●レジカウンターが売り場スペースを分断しない。
 ●レジに並ぶお客様が、買い物のお客様の邪魔をしない。

■客動線と作業動線
 お客様が店内に入ってから、どのゾーンを通って歩くのか、ということが客動線です。
 お客様に全ての商品を見ていただくためには、「長いワンウェイ(一方通行)」に誘導するのがベストです(図1)。お店のか

たちや厨房の位置により、単純なワンウェイにできない場合は、ゾーニングをはっきりさせることで客動線の混乱を防ぎます(図2)。

 スタッフが、品出しや接客などの作業をする上で歩く通路が、作業動線です。
 作業動線はできるだけ短くします。また、客動線との交差や干渉はできるだけ防ぎます。品出しのときにお客様にご迷惑がかからないように通路幅を確保します。


●お客様の視点で判断する。
●△の評価はできるだけ避けて、○か×を選ぶ。
●達成度が高くお店の売りになっている項目には◎を、決定的な問題点と思われる項目には××をつける。
●自分のお店にあてはまらない設問はチェック項目から除外し、集計に入れない


№1 店内に入って、入り口周辺のスペースの確保がされているか。
№2 トングトレー台の位置がわかりやすいか。とりやすいか。
№3 入り口に立ってすべての商品を見ることができるか。ゾーニングがわかりやすいか。
№4 主力商品を効果的にアピールしているか。
№5 ほこりはないか。パンの匂い以外の臭いがしないか。
№6 季節感を演出しているか。
№7 全体のデザインと什器のデザインは一致しているか。
№8 什器の配置は、ゾーニングに一致しているか。
№9〜10 レジの位置は適切か。
№11 客動線は、ワンウェイ(一方通行)となっているか。
№12 客動線と作業動線は干渉しあっていないか。
№13 通路幅が狭く買いづらくないか。







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